ついでに北米の新聞事情2

私が何年も大切にしているカナダの新聞記事がある。いわば宝物である。

私がカナダの父と慕った隣人の死亡記事だ。政治家でも大金持ちでもない一人の老人の死を地元紙はかなり大きなスペースをさき、書いてくれた。

はるか昔の仕事のキャリアよりもリタイア後、人生を謳歌しつつ、海外からの留学生を親身になって世話をし、誰からも愛されたビクトリア市民であったことが強調されている。「父を知っている人なら誰でも葬儀に来て、一緒に父の思い出を語って欲しい」という家族のコメントがちょっと照れたような彼の生前の写真と共に載っている。
既に日本にいた私は残念ながら仕事で葬儀には参列できなかったが、後日、遺族から、生前彼が私の為にと買ってあったという品と共にその新聞記事を送ってもらい、「最後まで彼らしい」と涙が止まらなかった。そして、私は今でも「カナダの父」の最期を温かい視点で書いてくれた記者に心から感謝をしている!