たまには本の話♪

一応、ライターのはしくれでもあるのでたまには本の話♪
やたら前向きで元気になれるものと「前向きばかりが人生ではない」と教えてくれる作品を紹介したい。

まずは後者から。五木寛之さんの「いまを生きるちから」

この本の初めの方に今と似た状況が出てくる。敗戦で何もかも失った人達の所へ歌手が慰問に行くのだが、最初は明るい歌しか歌わないが聴衆の反応がよくない。すると、一人の男性がこう諭す。「悲しんでいる人には悲しい歌を歌うもんだ。たっぷり泣くとあとは泣くのをやめるしかない」

涙の効用、五木先生の言う「ウェットな情、悲という感情」も必要なのだと…
この作品には鹿児島の「隠れ念仏」という、壮絶な話も紹介されている。私は恥ずかしながらこの本で初めて知ったのだが、江戸時代、薩摩藩によって徹底的に弾圧された数多くの一向宗の信者がひどい拷問にかけられようと決して信仰を捨てず、殉教していったという話である!