名に恥じぬ振る舞いを

相撲界の野球賭博問題が連日報道されている。

中でも部屋の力士の半分近くが関わったとされる阿武松部屋に対し、私は非常に複雑な思いを抱いている。
落語にズバリ「阿武松」という噺がある。いわゆる出世噺で勿論、コミカルなところもあり、笑える箇所も多いが、人情噺のように最後にジーンとさせるネタである。

私は落語の仕事を始める前、まだ落語を聴き始めてまもない頃、この噺に出逢い、今でも大好きなネタの1つで寄席でかかると、1人で号泣している(;_;)
それは、主人公の「阿武松」の素朴さ、不器用さも応援したくなるが、いわゆる「タニマチ」や「親方」の善意や熱意にほだされるのである。

落語というフィクションの世界でありながら真のタニマチ、親方の姿がそこにはある。

以前は相撲部屋に落語家が呼ばれて一席するということがよくあったという。
どうか関係者はもう一度「阿武松」を聴いて猛省をしてもらいたいと心から思う