蟹工船

先日、人に勧められて映画「蟹工船」を観てきた。昭和28年の芸術祭参加作品?とテロップにあったので恐らく27年か28年あたりの作品らしい。勿論、白黒である。

私は何事にせよブームとは縁がない人間なので原作ははるか昔、学生時代に読んではいたが、映像化すると、さらに「暗い、重い、救いがない」ように思った。

確かに、似たようなこと、いや作者の小林多喜二が拷問によって亡くなったことを考えると、映像よりさらにひどい状況が日常茶飯事だったのだろう。暗黒の時代である。
しかし、その暗黒の時代とも言うべき、辛く悲しい時代を経て21世紀を迎えた今、多くの人々が決して幸せではなく、中でも前途あるべき若者の中に自らを「蟹工船」の虐げられた労働者に同化させている人が少なからずいることを思うと本当に救いがないと絶望的な気持ちになってしまう。

歴史は繰り返すというが、歴史から何も学ばない愚かさを思い、気分が沈んだ(ToT)