犯人探しをするつもりはないけれど…

熱海の仕事を終えて帰京し、自宅のリビングで新聞を読んでいた私は思わず絶叫してしまった。

投稿欄に私の落語会のお客様の投書が載っており、それによると駅で走ってきた若い男性にぶつかられ、転倒した際に複雑骨折し、全治4ヶ月と診断されたという。

その男性はお詫びもそこそこに立ち去ったそう。「その場で名乗るなり、名刺を置いていくかしてほしかったし、老人は弱いものだから気をつけて欲しい」と結んでいた。
慌ててお見舞いのお電話をしたが、いつもは気丈でてきぱきした方なのに本当に弱々しい声であることにまず驚いてしまった。そして、人が信じられなくなっている様子も感じられた。

さすがに私に数十分間思いを話されると少しスッキリしたのか、声に張りが出てきて安心した。

しかし、かといって怪我がよくなるわけではない。食事の用意は勿論、近くの病院にリハビリに歩いて行くのさえ痛くて辛いらしい。お気の毒でならない