食べ物の本3

声をかけてきたのはインドネシア人のウェイターだった。「そんなユニークなタイトルの本をこれまで見たことがありません。よろしかったら少し見せて頂けますか?」アクセントは強いが、礼儀正しい英語で乞われ、私は本を手渡しながら、大好きなボブ・グリーンのことなどを話した。

全く食べ物のチーズバーガーと関係がないのだが興味津々の彼に「読み終わったらあげる」と約束した。

バンクーバーのカフェでのことだったが、その日、大学院時代を過ごしたビクトリアへ一旦移り、帰国前に又バンクーバーで一泊する予定だったので私には大した手間ではなかった。

が、彼は恐縮してしまったのだろう。実際、バンクーバーに戻り、帰国前の朝食をとりにそのカフェに行くと「自分の奢り」だと言ってどうしても代金を受け取ってくれない。

下手したら一時間の時給分が飛んじゃうんじゃないかなぁと心配しながら店を後にした。数年経つが今でも懐かしい