たまには講談も・・・

 土曜日の夜、講談の「神田紅一門会」に行ってきた。場所は永田町の国立演芸場国立劇場の中にあり、皇居をのぞみ、隣は最高裁判所という、ちょっとおっとろしい?所だ。しかし、春夏秋冬、折々の皇居の自然はとても美しく、アスファルトジャングルでありながら妙に落ち着く。
 美しいといえば、神田紅一門の前座、神田蘭さんだ。名は体をあらわすというが、女優をめざしていただけあり、とにかく美しい。熱烈な男性ファンが多いのも納得で、今回も高座に上がると「待ってました!」とあちこちで声がかかる。歌舞伎でいうところの「大向こう」だが、歌舞伎と違い、落語や講談では声をかけるタイミングが多少ずれようとあまり迷惑がかからないのがいい。以前、歌舞伎を観にいったとき、なれないのに無理をして声をかけたのか、「待ってました。たっぷり!」という声がせりふと重なり、非常に見苦しかった人がいた。何事にも年季が必要なようで・・・
 さて、トップバッターの蘭さんの演題は「にごりえ」。ご存知、樋口一葉の名作を講談にしたもの。自身、超難作だといっていただけあり、悪戦苦闘の様子が見てとれたが、前座にしてあの迫力。これからの活躍が楽しみだ!蘭さんは20日(木)蕨のゆ場中山道ベリーダンス津軽三味線とジャズと一緒に出演
予定なのでこれも要チェック!
 次は5月に二つ目に昇進という神田紅葉さん。高齢での入門で何かと話題をよんだ人だ。こちらはうってかわって明るい噺で「秋色桜」。今の時期にぴったりの演題だ。ちなみにこのモデルとなった天才女性俳人が興した店はまだ東京にあるという。今度是非いってみたい。
 中入り前は唯一の男性 神田陽司さん。「お題講談」といって客から声のかかった題でやるというもの。面白い試みだが、とても大変そう・・・今回の題は「向島」「初鰹」「そばや」だったが、途中、本当に最後、うまくまとまるのか私もびくびくしてしまった。もちろん、うまくまとまったけど。
 中入り後、いよいよ神田紅師匠の登場。新作マリリン・モンローに果敢に挑む。今年は生誕80周年だそうな。エルトン・ジョンの歌をはじめ、衣装など派手な演出にはもちろん、賛否あるが、非常にチャレンジングで私は大いに気にいった。
 ゲストは歌手の大友智香さん。のびのある歌声だ。最後に、彼女が作った「ヒップホップ講談」なるものを皆で披露。講談にヒップホップ?という声もあろうが、これはこれでいいのではあるまいか・・・
 せっかくなのでと帰りに西麻布までタクシーを飛ばしたが、お目当てのSO BARは臨時休業。深夜までうまいソバを片手に飲めるバーだけに残念。代わりにやはり西麻布の牛鍋屋で牛鍋となぜかひつまぶしを食べてご帰還。京都の料理旅館が「町屋」をイメージして作ったという店は雰囲気もよくおいしかった。時間が早ければ麻布十番温泉によるところだが、それはまた別の機会に。
 そうそう、昨日書いた三遊亭道楽師匠が本を出版した。
「落語の名台詞100」という本でPHP研究所から1200円(税別)で好評発売中とのこと。
私も読んだが評論家が書いたのではない、生きた落語が心地よい。ぜひご一読を!ちなみに推薦文はあの円楽師匠が寄せているから驚き!