両国の粋な楽しみ

 昨日12日(水)も両国寄席に足を運んだ。ご存知楽太郎師匠の二番弟子 三遊亭花楽京(はならっきょう)の独演会のためだ。寄席通いをするまで両国には全く縁がなかったが、知れば知るほど粋で楽しい町だ。国技館があるので相撲の時期はにぎわうし、普段でもファーストフードに若手力士がいたりする。力士向けに大きなサイズを扱う店も多いし、ちゃんこ屋が並ぶのも両国ならでは。最近は、お兄ちゃんのちゃんこ店が大ブレーク中だが、伝統的なちゃんこ屋を好む人は是非両国へ。ふぐの店も多く、寄席帰りに噺家を連れて行くと、隣は力士だったりするのも珍しくない。
 私 の寄席前の楽しみといえば、銭湯だ。両国の銭湯にはまだ下町の風情が残っていてとてもいい。「よそ者」を排除する雰囲気もないのが好きだ。両国駅から徒歩圏内に今流行のスーパー銭湯を含め、3-4軒あるらしいが、私のいきつけは両国寄席近くの緑という地区にある銭湯だ。何の変哲もない昔ながらの銭湯だが、妙に落ち着く。ただし、江戸の銭湯らしく、めちゃめちゃ熱い!さっぱりしたところでいざ寄席へ。
 二つ目の独演会にしては50名近くのお客はすごい!皆、熱心なファンらしく前から席がうまっていくのも驚きだった。前座は三遊亭橘也くん。マクラからすると「子ほめ」かなんて思ったが、さにあらず。
「桃太郎」であった。よく兄弟子にあたる鳳志さんが得意で演じていたのを思い出し、なつかしかった。 さて、花楽京の1席目はおなじみの「浮世床」。床屋でのどたばたを描いた滑稽噺だが、オチが意外なもので少し驚く。ゲストは講談師の一龍斎貞女さん。タイムリーな話題で「山内一豊の妻」を演じきった。講談になじみのない客が多いので、この選択は賢明だったと思う。皆、興味深く聞きいった。
 花楽京の2席目は「ちりとてちん」。またまた滑稽噺。食べるしぐさをやらせたら花楽京の右に出る芸人はなかなかいないのでは?と感心する。中入り後、最後は演題は知らないが、猫の噺。ちょっと意外な選択だったがネタおろしのわりにうまかった。
 帰りに焼肉を食べた。アメリカ産牛肉でもいいから上タン塩をおなかいっぱい食べたい!と切に願って帰路へ。