日本一落語を聴く女?

 9日の日曜日、両国寄席に行って来た。4月はこれで2回目だから平均的なペースといえる。でも考えてみると両国以外でも落語は聴いているわけで下手をすると月10日以上聴いていたりする。もちろん、生でだ!もしかすると、日本一落語を聴く女かもしれないなんて思いながら席につく。
 人間とは面白いものでだいたい定位置というものがある。私の場合、後ろから2-3列目のはじっこと決めている。なぜならそこなら台があって飲み物を置く事ができるからだ。今日の入りはかなりいい。あれよあれよの間に満席に近くなり、息苦しいほど。最後には90名近くいただろうか。
 前座が上がるときからこの大入りは珍しく、前座自身も戸惑いながら高座へ。立川松幸さんだ。噺は「狸札」別名「狸の恩返し」だ。落語では狸や狐は縁起がいいとされている。なぜなら「化ける」から。つまり、芸がうまくなることを「化ける」と表現し、歓迎するのだ。
 番組に入ってトップバッターは三遊亭神楽さん。ここで私ははたと考え込む。3年近く落語をきいているが、初めての噺なのだ。まだまだ奥が深いなあと実感。もちろん、演題がわからない。「こういうクセの噺なんだけど・・・」と三遊亭上楽さんにメールをして教えてもらった。「のめる」という演題だそうな。それにしても、解説してくれるプロがそばにいるのは心強い。
 次は愛楽師匠。お得意の「反対車」。ドカンドカンうけるという表現がぴったり。明るく華のある芸風で私は大好きだ。続いてあがったのも明るさがウリの円左衛門師匠。江戸っ子の強がりを面白く描いた「強情灸」をそつなくこなし、竜楽師匠へ。マクラのうまさは相変わらず。演題は「火事手伝い」。若い女性を描く力はさすがだと感心する。中入り前は小歌師匠。なぜか新作だった。
 中入り後は入船亭扇治師匠の登場。円楽一門はあまりやらない(もっていない?)「へっつい幽霊」を熱演。季節がちょっと早いんじゃないの?とも思ったが、そんな疑問をふきとばす出来だった。色物は漫才の宮田陽・昇さん。いつも地理ネタだが今回は童話「泣いた赤鬼」のパロディ。ほろっとさせ、「やられた!」という感じ。そしてお待たせのトリは大好きな全楽師匠。いつもながらテンポのよさとマクラのうまさは天才的だと思う。今回はマクラから本題へが少し強引のような気もしたが、演題は「錦の袈裟」。与太郎のばかばかしさを本当にうまく表現する。大笑いをして家路につく。帰りにしゃぶしゃぶを食べたが、これはイマイチ。